小関ブログ

読了:「資本主義はなぜ自壊したのか」

小田原の本日の天気は快晴。いい天気です。

富士山は頭がちょっと雲に隠れていますが、きれいにみえました。と、息子殿からメールがありました。

今はちょっと違うところにいます。

この連休で、中谷巌氏の懺悔の書「資本主義はなぜ自壊したのか」を読了しました。さすがに理路整然とした内容で、なぜアメリカ主導のグローバル資本主義が、人間関係を破壊し、地域コミュニティ、社会を破壊し、さらには地球環境をも破壊するのかがよく理解できました。

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言
中谷 巌
集英社
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アメリカの建国の歴史からアメリカ流のグローバル資本主義が生まれたのはヨーロッパでプロテスタントに追われて未開の地を開拓してキリスト教の聖書による理想の国を創ろうとしてアメリカ大陸に渡った裕福なピューリタンの「アメリカ大陸に新の宗教に基づく『新しい国家』を創り、それによって本国イギリスの堕落した教会と国家を改造し、ひいては全世界をつくりかえる」というビジョンがアメリカの『精神的遺伝子』となり、本国イギリス発祥の「民主主義」と「市場主義」に基づく「理想国家」というアメリカの崇高な理念(?)を拡げるための「西への布教」が続いてきた結果だという理解。

そして、冷戦終結後の世界で、新自由主義が台頭し、アメリカ流資本主義の布教が本格化したことによって、「世界経済に未曾有の不安定をもたらしただけでなく、日本やヨーロッパ、或いは新興国において深刻な社会の分裂と社会的な価値の棄損をもたらすことになった。すなわち、格差社会の出現であり、地球環境の破壊であり、安心・安全社会の崩壊である。だが、これは当然の帰結であった。」(P207) という中谷氏の主張は、まさにその通りであると思います。

368ページに及ぶ著書のすべてをここで紹介することはできませんが、第5章、6章での日本の「本地垂迹説」という宗教史観に基づく一国、一文明という世界史的独自性や自然崇拝による環境保全、農耕文化を伝承する伝統文化の紹介、そして、日本独自の戦略性に関する記述は、まさに賞賛すべきものがあります。また、第7章で、日本再生への数々の提言をしていますが、どれも国民一人ひとりが真摯に検討をする必要のあるものだとまじめに考えさせられました。

特筆すべきは、「新自由主義に基づくアメリカ流グローバル資本主義は、資本主義の一形態であって、絶対的なものではない。むしろ特殊な資本主義の形態であり、EU諸国が制度の平準化の時に用いる「相互承認」という言葉。グローバルスタンダードとして制度の平準化を一律に推進するのではなく、各国の固有の制度を残したままそれを互いに認め合うという考え方をベースにしてグロ張る資本主義の動きに一定の制限を加えるべきという考え方には大いに興味を惹かれました。

明日は自宅に戻ります。

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