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2006年05月22日

●決算公告の義務化?

さて、相も変わらず、会社法のおはなし。
それしかネタがない感じになってきてしまいました(汗)

会社法施行にともなって、決算公告につき罰則規定が設けられました。
旧商法においても義務規定だったのですが、罰則規定がなく有名無実となっていたのですが、罰則規定がついてあわてふためいている中小企業の方々がいらっしゃるようです。

今月や来月、3月末決算の会社が定時株主総会を開くことになりますが、その決算について、決算日を基準にすると旧商法、定時総会期日を基準にすると会社法となるため、どちらを基準にしたらいいのかという質問がありました。

そこで確認したところ、

会社法整備法(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)
(計算に関する経過措置)
第九十九条  施行日前に到来した最終の決算期(次条において「直前決算期」という。)に係る旧商法第二百八十一条第一項各号に掲げるもの及びこれらの附属明細書の作成、監査及び承認の方法については、なお従前の例による。

附則
(罰則の適用に関する経過措置)
第三十九条  この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこ法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

となるため、決算日基準が宣言されており、今年4月末決算までは、旧商法の規定によることとなり、決算公告を怠っても、罰則にはならないとのことでした。

ただ、罰則はなくても義務は義務なので、やらなくてはならないのですが(苦笑)

個人的には、今年1年やらなかったということではなく、5~10年ごとに一斉調査を行って、1回もやっていない会社に対して罰則を適用するという扱いになるかとは考えていますが、実際のところは定かではありません。

2006年05月15日

●会社設立完了

5月1日に設立の申請をだした会社ですが、本日、登記が完了して謄本(履歴事項証明書)ができあがってきました。

とりあえず、提出した書類で問題はなかったようで一安心です。

本日が補正日ということで、午前中にはあがっていると思っていたのですが、まだできあがっておらず、お願いしたら午後一番でだせるように計らってくれました。
登記官とも話しをしたのですが、やはり会社法施行の5月1日設立した会社が多かったらしく、それに手間取ったのと、今まであった会社に対する職権登記が小田原管内でも1万件あるので、それに時間をとられたために、登記に時間がかかったとのことでした。

職権登記に関して云えば、ほとんどが定型的なものだから、コンピュータ化しているのでパッチをあてればすぐに変更できるような代物だと期待したのですが、そうでもなかったようです。
ま、それで問題が起こってしまえば、それはそれで重大な事件になってしまうので、万全を期しての対応なのでしょうが…。

2006年05月10日

●1人取締役で代表取締役?

さてまたまた会社法ネタです。
同業者のメーリングリストで話題になっているのですが、取締役会非設置会社で、1人しか取締役を置かない場合でも、代表取締役を設置することができるというのです。

取締役会非設置会社は、今までの有限会社に組織がにているのですが、

有限会社法
第27条 
1 取締役ハ会社ヲ代表ス
2 取締役数人アルトキハ各自会社ヲ代表ス
3 前項ノ規定ハ定款若ハ社員総会ノ決議ヲ以テ会社ヲ代表スベキ取締役ヲ定メ、数人ノ取締役ガ共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定メ又ハ定款ノ規定ニ基キ取締役ノ互選ヲ以テ会社ヲ代表スベキ取締役ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ

となっており、第3項で2人以上いる場合(第2項)に限り、代表取締役を定めることができるとなっています。
対して、会社法では

会社法
(株式会社の代表)
第349条  取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2  前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3  株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
4  代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5  前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

となっており、3項に「前項の場合」(取締役が二人以上ある場合)という言葉が抜けており、それが根拠となるようです。
実際、それが認められるかどうかはともかくとして、「1人しか取締役がいない場合でも、代表取締役を設置することができる」ということで大意は決せられているようです。

会社を代表する者として「代表取締役」=「社長」というイメージがありすぎて、1人取締役で会社の代表権を持つ者の肩書きが「取締役」だったことに違和感を感ずる人が多かったのは確かですが、取締役が1人しかいない会社において、その会社を代表する者はその取締役においてほかはなく、それ以外に、わざわざ代表取締役の設置を認めるというのは、法的には何ら意味をなさないものだと思われます。

そういった巷間のイメージにおもねった法体系では、法的安定を得られるとは正直思えません。

2006年05月09日

●会社法の施行

が先週の1日にされましたが、連休などもあって大きな動きはまだみられません。
2日の朝刊には、合同会社に組織変更した会社があるなど報じられていましたが。

そんな中、今日、はじめて会社法施行後の会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)をみることができました。
今までもあった会社なのですが、会社法の施行に伴って職権登記された部分としては
・株券を発行する旨の定め
・取締役会設置会社に関する事項
・監査役設置会社に関する事項
の3点でした。

今までの商法上の株式会社だった会社は、おそらくこの3点が追加されているものだと思います。
旧商法時代にも株券不発行の定めがあるので、必ずついてくるのは、下2点でしょうが、将来的には定款変更などで、商法時代につくられた株式会社でも取締役会や監査役を廃止するような会社がでてくることと思われます。