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2006年10月23日

●利益剰余金の資本組み入れ

会社が長年の間積み重ねてきた、利益剰余金・当期未処分利益を資本に組み入れることを顧客に提案していたのですが、会社法の施行に伴って「できなくなった」と解釈されているようです。

もともと、

旧商法
第二百九十三条ノ二 会社ハ利益ノ処分ニ関スル株主総会ノ決議ヲ以テ配当ヲ為スコトヲ得ベキ利益ノ全部又ハ一部ヲ資本ニ組入ルルコトヲ得

と明記されており、会社法施行後も、
会社法
(資本金の額の増加)
第四百五十条 株式会社は、剰余金の額を減少して、資本金の額を増加することができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 減少する剰余金の額
 二 資本金の額の増加がその効力を生ずる日

という規定なので、問題がないと思われたのですが、会社計算規則まで調べてみると
会社計算規則
(資本金の額)
第四十八条  株式会社の資本金の額は、第一款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
一  法第四百四十八条の規定により準備金(資本準備金に限る。)の額を減少する場合(同条第一項第二号に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号の資本金とする額に相当する額
二  法第四百五十条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の減少する剰余金の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
(太字引用者)

と規定があり、「資本準備金」「資本剰余金」のみが資本に組み入れることとなってしまったようです。
もともと、資本準備金などは資本取引(増資、合併等)によって発生するものなので、これに限定しようとするのは理解できるのですが、ただ、法文で制限されていなかったものが「規則」で制限されてしまうのは若干理解に苦しみます。
旧商法下においてできていたものができなくなってしまったのであれば、なおさらです。

方策としては、

利益剰余金を配当する→未払配当として負債に計上する
  ↓
未払(未収)配当という債権を株主が現物出資(DES)する。

ということが考えられますが、これでは、配当した時点で配当所得として株主個人に課税されてしまいます。

規制緩和の旗印のもと会社法が施行されたと理解していたのですが、こういった目立たないところで規制が増えるのはあまりよいこととは思えません。

2006年10月11日

●風営適正化法関係法令集

本年5月1日に施行された風営適正化法に対応した関係法令集がいつのまにやらでていたようです。

風営業務を受託している人には必携ではないでしょうか。
手引きなどで一応の仕事はできますが、県で独自に指定している保護対象施設なども確認できます。

2006年10月04日

●労働者派遣事業と警備業と

9月26日のてんめい尽語「県指名参加資格認定申請への疑問点」に書いていたことについて神奈川県に問い合わせてみました。

大まかにいうと
・プール監視業務について、労働者派遣として発注するか、警備業で発注するかは発注機関の判断にゆだねられているので、県では判断できない。
・県労働局より、「プール監視業務は警備業にあたるため、労働者派遣事業の禁止業務にあたる」という判断が下されているが、プール監視業務が警備業にあたるかどうかは発注機関が判断すべきものなので、県が判断することではない。
という回答でした。

たしかに、県が発注するものではなく各市町村が発注機関として責任を負うことは理解できるのですが、むしろ、労働者派遣事業でプール監視業務を委託しようとしている市町村に対しては、それが法令違反であることを伝え、警備業として発注すべきだと指導していくのが努めではないでしょうか。

県が主導となり市町村と共同運営で入札等のシステムを構築している以上は、そこで何らかの統一的な見解をしめしていかなければ、共同システム自体が破綻を来してしまいかねません。

特に、警備業務が労働者派遣事業の禁止業務にあたり、なおかつ、プール監視業務が警備業務にあたるものであることを知りながら、その判断を各市町村にゆだね、極論をいえば違法業務を黙認するというのはまさしく無責任としかいいようがないと思います。

なお、警備業認定に携わる県警側としても、プール監視業務を委託して行う場合には警備業にあたるという判断をしているようです。