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mail magazine   Ozeki-Letter    2003.7.11 【第6号】
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小田原支部の小関です。

 梅雨も峠を越え、来週には梅雨明けになるかもしれないという時期になってきました。

 先週の法政大学エクステンションカレッジで、“争わない(喧嘩をしない)戦略”を持つことの大切さを教わってきました。
 私は、講師としていったのですが、全部の講義(ISO,M&A,公共事業)を聴いてきました。

 “喧嘩をしない戦略”というのは、北川氏の後任の現三重県知事が前松坂市長だった時に、公共工事入札に全国に先駆けてくじ引きを導入したそうで、建設業者からは大変不満を持たれたそうなのですが、その人が知事になったときに三重県建設業協会は、喧嘩を敢えて避けて知事の信頼を得るべく政策的に協力し、今ではかなりよい関係にあるとのことで、その知事さんも“松坂市でやったことは間違いであった。”と認めているそうです。

 この事例は、決して従来型の官製談合もどきをやろうとしてそういう戦略をとったのではなく、健全な形での産業政策を官民で作るためのものであるという前提です。

 逆に長野では、建設業界が田中知事との対決姿勢にたち、喧嘩をしてしまい負けています。結果、地場の建設業界はその存立基盤を失いかけています。

 このことは、決して単に建設業界だけの教訓ではありません。
 あらゆる社会のレベルで生かせるもので、目的を達成していくためには、喧嘩をすることなく、互いに協力し、その実現可能性を高める戦略を持たなければならないと言うことなのです。

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【プロフェッションになろう】(6)

    〜専門職業人としてのパーソナリティを構築しよう〜

 先週は、“媚びを売ること”と“信頼を得ること”とは違いますよ。って話しを書きました。

 私達“専門職業人”(士業者)というのは、自分のもっているパーソナリティを売っていると言っても過言ではないと思うのです。

 依頼者である市民や企業家は、専門家である行政書士を信頼して業務を依頼してくるといったのだけれど、それは前提であって、後は、依頼を受けた君のパーソナリティによって信頼関係を作るってことが重要なんだ。

 今回は、そのパーソナリティを構築するために有効な手だてを考えてみることにしよう。
 そんなことはよけいなお世話だと思うかもしれないけれど、ちょっと付きあってほしい。

 人のパーソナリティというのは、生まれ持った特性もあるのだけれど、生き様によって大きく変わる部分を持っているので、行政書士として必要なものを身につけなければならない。

 それはどういうものかというと、依頼者の立場に立ってものを考え、依頼者のいっていることを正確に理解して、その要求を具現化するために必要な知識を供給できる資質を身につけるってことなんだ。

 これは、“言うは易し”ってところがあって、なかなか難しい。
 例えば、相続などの相談で、他の相続人に対して特別な感情を持っていて、理屈はわかっているが感情的に受け入れられない相談者が君のところへ来たとするよね。

 実際にままあることなのだけれど、くだくだと回りくどく自分の育った環境やら親から受け仕打ちなんかを話し始め、なかなか本題にたどり着かない。(ベテランの会員の皆さんは、ここで思い出し笑いがでているかもしれない。)

 そんなとき、君はどう対応するかってことだ。考えて欲しい。
 中には、私が知っている弁護士のように、しびれを切らして“そんな話はどうでもいい、何か言いたいのか!”と相談者を恫喝する人もいるが、それでは相談者は二度と心を開いて自分がどうしたいのかを言わなくなってしまうのだ。

 私も経験があるが、そう言う依頼者は、くどくど話しながら相手が自分の話を聞いてくれるかどうかを見定めているんだ。

 だから、ひととおり言いたいことを言ってもらいながら、本題へとリードしていく必要がある。ただ聞いているだけでは、本当に何が言いたいのかが見えてこない人もいるので、時間を浪費しただけになってしまうこともある。だから、こちらのリードが必要なんだ。

 このリードができるかどうかでパーソナリティが決まってしまうような気がしている。そう言うとたぶんいろんな反論や異論があると思うのだが、要は、相手の話を聞きながら相手の言いたいことを自分なりに構築して相手の気持ちや考えを整理しながら相談に乗ることができるかどうかなんだ。

 ここで、重要なのは、相談内容を法的に理解をする知識は当然必要だけれど、それ以上に人間としての利口さ、つまり、機転を利かせることが必要なんだ。そして、きちんと話を聴くという誠実さを兼ね備えたパーソナリティをもてれば、本当の意味でのプロフェッションに一歩近づくことになる。私はそう思っている。                                           (つづく)
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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(4) 

           〜裁判外でのクレーム処理(示談)〜

 “裁判外”と書くとすぐにADRを思い出す向きも多いと思いますが、ここでは示談について研究をしてみたいと思います。

 悪質な“クレーマー”や誤解に基づくクレームは別にして、クレームを受けた企業にとっては、出来るだけ示談によって解決することが望まれます。

 それは、示談という方法が、様々なクレーム処理制度のうちでもっとも安く・早く処理できるからに他なりません。

 ここで言う「示談」とは、私人間の紛争を裁判によらず、当事者間で解決するための一種の契約です。

 これまで、「示談」に関わることは、紛争の仲裁という法律事務であるということから弁護士法72条に抵触すると考えられてきましたが、昨年の改正行政書士法施行によって、契約書の代理作成とそのことに関する相談業務についても行政書士の法定業務となりましたので、「示談」という契約を成立させるための約定に関する相談にのりながら「示談書」を作成することは、まさに行政書士の業務範囲であると考えても差し支えないと思います。

 「示談」と類似した手続に「和解」があります。これは、私人間の紛争を当事者間で互いに譲り合って争いを解決する方法で、契約で行う「裁判外の和解」と裁判所で行われる「裁判上の和解」の2種類があります。
 この「裁判外の和解」を通常「示談」と言っているわけです。

 示談には、早くて、費用も少なくてすむし、内容も非公開であるという利点がありますが、反面、相手が感情的になり、あくまで争う姿勢が強ければ、示談は成立せず、訴訟にならざるを得ない場合もあります。

 しかし、クレームの実態である“事実”を的確に把握し、それによって相手に与えた損害を明確にした上で和解条件を考え、相手に誠意を持って説明責任を果たし、同意を求めることによって多くのクレームは紛争に至ることなく解決が可能なのです。

 問題は、企業側が損害を最小限に抑えたいとか、信用リスクを恐れるあまり、事実を曖昧にしてしまったり、相手方の損害を不当に低く評価をしてしまったりすることによって相手の同意を得られないばかりか、感情的な争いにしてしまうことが往々にして起こると言うことです。

 それを回避するためには、客観的に評価をする立場の専門家を必ず関与させることが必要になります。私達行政書士は、紛争を未然に防止するという“使命感”をもってこのことに取り組むことが重要です。
                                   (つづく)
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コーヒーブレイク(*^_^*)

【ことばの解説】

            〜ディスクロージャー(disclosure)〜

dis(否定)- close(閉じる)=discloseの名詞形、つまり、今まで閉ざされていたものを、開け放つこと=開示すること。

 今までの経営というものは、経営陣のみが重要な情報を握ることにより、その座を確保するような手法が見受けられましたが、企業統治(コーポレートガヴァナンス)の観点から、経営の透明化が求められ、会社側から出資者や顧客、債権者に対して情報を開け広げることのキーワードとして誕生しました。

 また現在では、今日のIT化の進展にともなって、ただ情報を公開するだけではなく、情報を数的な根拠によって説明する責任を負うアカウンタビリティ(accountability)の要請へと変化していっているものです。

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【行政書士法を読む】・・・・・・・・・(6)

 本年2月3日に施行された『行政手続オンライン化三法』のうち『整備法』において行政書士法の改正が行われましたが、それは、行政書士の業務に新たに「電磁的記録」の作成等を加えたことです。

 条文的には、行政書士法第1条の2の第一項中の「官公署に提出する書類」のあとに「(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条及び第19条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)を加えることになります。

(法律ってのは、いやになるほどややこしいね。こういう作業が楽しい人も世の中にはたくさんいるのかな?)

 いずれにせよ、行政書士法第1条の2が述べていることは、行政書士は、官公署へ提出する書類や私人間の権利義務又は事実証明に関する書類作成業、ということなんです。

 ここは、「法」が行政書士とはかくあるべしと設計した一つの特徴が色濃く出ている部分であるということを記憶して、次の条文を読むことにしましょう。

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※ この連載は、全国建設関係行政書士協議会(全国建行協)での
 友人である岡山県の“行政書士八尾信一氏”の提供です。

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【今週の一言】

 先日、“定款の代理作成”で、ちょっとして問題が起こりました。結果的にはたいした問題ではなくなりましたが。。。

 当事務所では、先月から“定款の代理作成”を業務として本格的にはじめているのですが、はじめは、やっぱり、公証人が面食らってしまい、若干時間がかかってしまいました。しかし、2回目は何ら問題はなく認証をしてもらえました。

 ところがです。公証人が問題なく認証した定款に出資払い込み事務委託先の金融機関がいちゃもんを付け(まぁ、こちらも初めて面食らってしまったのでしょうが)て来たのです。

 その言い分が、「有限会社法6条にある“各社員の署名(雑則による記名捺印)”は、省略できないので、代理人の印鑑だけでは認められない。押印をして認証し直さなけれは、払込を受けられない。」というものでした。

 私は、それでは行政書士の代理作成の意味がなくなるので、そんなことは出来ないと答え、早速、先例集を調べたところ、『代理人が発起人の代理たることを表示して定款にした署名又は記名捺印は、本人の署名又は記名捺印と同一の効力を有する。』という東京控訴大正7年(ネ)第227号判決を見つけました。

 そこで、「公証人がが有効であると判断をして認証をした原始定款を何の有権解釈にも基づかず、無効であるがごとく判断をなす権限は、貴行には存在しない。」旨のメモを添えてFAXをしました。

 結果は、推して知るべしで、判例を理解して、問題なく払込事務を取り扱うとの決済が下りたようです。

 定款の作成代理については、これまでにあまり例がないために多少混乱が起きている実態がありますが、行政書士の新たな業務として定着をさせなければなりません。頑張りましょう。

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【Ozeki-Letter】            2003.7.11【第6号】
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【発行人】行政書士 小関典明(小田原支部会員)
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