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mail magazine   Ozeki-Letter    2003.9.12 【第15号】
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小田原支部の小関です。

 今週は、残暑が厳しかったですねぇ。
 このメルマガを受信すると『もう一週間がたったのか』と思われ
る方が多いようです。一週間とは早いものですが、こうして、メル
マガを書いていると、毎回新しい発見があり、結構勉強しなければ
ならないので、私自身にとっても有益なものになっていると思って
います。

 前回の号で、11月1日(土)に小田原支部の研修会を『予防法
務を考える』というテーマで開催する予定になり、その機会に『予
防法務研究会』を立ち上げてみたいと考えていることをお知らせし
ました。
 日は決まっているのですが、会場等はまだ押さえていません。
 小田原支部だけの研修会では、集まっても20名程度ですので、
市民会館等でよいのですが、参加人数によっては、小田原駅周辺の
会議室を使用したいと考えておりますので、参加をしても良いとお
考えの方は、是非、小関宛メールにてお知らせ下さるよう再度お願
いをいたします。
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【プロフェッションになろう】

   〜新たなプロフェッションの形を考えよう(8)〜

 前回、前々回で、新たな行政書士像を創造していくために「戦略
的思考」が重要であることを説明しました。

 今回は、その戦略的思考を実践していく上での解決策(ソリュー
ション)の基本となる社会システムが変化をしていることを説明し
たいと思います。

 20世紀後半(第二次大戦後)の高度成長を成し遂げた日本社会
は、社会の隅々まで「ピラミッド型の階層組織」(ヒエラルキーと
いいます。)を作り上げて上意下達の意思伝達システムを使うこと
によって生産性を上げてきました。

 このヒエラルキーを利用した問題解決の手法を“ヒエラルキーソ
リューション”と言います。
 元々、この手法は、昔の軍隊で生まれたとされており、中央で立
てた作戦で現場の兵隊を将棋の駒のように動かすために都合がよい
システムなので、『工業化社会』の中では、大量生産をするために
必要な「肉体労働の生産性」を上げるために非常に都合の良いシス
テムであったわけです。

 このシステムの特徴は、強固な中央集権による統制にあります。
 従って、このシステムを用いる問題解決は、より上位の意思判断
を仰ぐことによってすべての問題に対応しようと考えます。

 ヒエラルキーソリューションは、肉体労働の生産性を上げること
によって富を追求してきた工業化社会では、きわめて有効に作用し
てきました。
 しかし、工業化社会が終焉を迎え、“知識労働”の生産性を上げ
なければ“豊かさ”を実現できない『情報化社会』に移行する中で
ヒエラルキーソリューションでは、問題を解決できなくなってきま
した。

 それは、ヒエラルキー(階層)によって、階層のより上位にいる
人ほど情報を多く持ち、その情報の優位性で地位を確保してきたこ
とが、現在のように情報の流通が拡大し、変化の激しい時代に合わ
なくなってきたといえるのかもしれません。

 ヒエラルキーソリューションの最たるものが、国会や政府に頼っ
て法律を制定して問題を解決すると言ったことになるわけですが、
同様に、組織の中では、最高意思決定機関に諮ってシステムを変え
たり、マニュアル化をすることによって問題に対応してきたわけで
す。これがうまくいかなくなってきたと言うことです。

 ここまで読むと、「そんなマクロ的な話はどうでもいいではない
か。」と、思う方もいるのかもしれません。
 しかし、人が社会の中で起きてくる問題を解決しようとするとき
は、必ず、マクロ的な視点(背景としての)を持って思考をしてい
るはずです。

 そこで、新たな問題解決策としてマクロ政策の中でとられた手法
が、「すべてを市場に任せてしまおう。」という“新古典資本主義
”に基づく“マーケットソリューション”です。
                         (つづく)
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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(12)

        〜株主代表訴訟に備える〜

『株主代表訴訟』は、個々の株主が全株主を代表して会社に代わっ
て取締役等の会社に対する責任を追及する制度で、平成5年の改正
商法によって、訴訟定期の手数料が、訴訟額に関係なく一律 8,200
円になったことによって近年増加が目立っています。

 この代表訴訟制度によって責任を追及される者の範囲は、取締役
のほかに、発起人、監査役、清算人、不公正価格による新株式引受
人(商法280ノ11)、利益供与の禁止(商法294ノ2)等の責任追及の
場合にも準用されています。

 『株主代表訴訟』の対象となる場合は、@在任中に責任が発生し
た場合、A在任中に責任発生原因が存在する場合で、退任してもそ
の責任は免れません。またさらに、死亡した場合でも相続人にその
責任の追及が及ぶことになります。

 取締役等が負う責任の範囲は、@取締役等としての地位に基づき
負担する損害賠償責任(商法266)A資本充実の責任(商法192、28
0ノ13)のほか、B取締役が第三者の立場で負担する一般取引上の債
務、又は不法行為の責任にも及ぶこととなります(通説)。

 この制度は、商法上の大会社のみに適用されているわけではない
ので、中小企業といえども取締役等の役員が、会社に損害を与えた
場合、株主から代表訴訟で訴えられないという絶対的な保証などあ
り得ません。

 そこで、この代表訴訟を提起されないよう予防法務を常に意識す
る必要があります。が、あまり意識しすぎると取締役なのどの行動
が萎縮してしまうので、常日頃から、コンプライアンス(遵法)経
営を心がけ、@会社の基本理念を確立すること、A経営と法律を一
体化させること、そして、B法規部署を強化し、或いは、日常的に
つきあえる法務コンサルタントを持つこと。という、代表訴訟回避
3原則を積極的に取り入れることが必要となります。
                        (つづく)
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コーヒーブレイク(*^_^*)
【言葉の解説】
    〜オープンブック・マネジメント〜
          −Open-book Mnanagemt−
   *************************
   経営指標の徹底した公開、財務関連の教育研修、権限委
   譲、成功報酬制度などによって従業員の自立的な行動を
   促し、企業を活性化しようとする経営思想
   *************************
 1990年代後半から米国で注目され始めた「オープンブックマ
ネジメント」とは、自社の従業員に財務諸表をはじめあらゆる経営
指標を公開し、良い数字だけでなく悪い数字も共有して、従業員自
らが問題点を発見して解決策を考え、それを実践する環境を創り出
す。という経営思想です。
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【行政書士法を読む】・・・・・・・・・・(15)

 前回まで見て来たように、行政書士法にいう行政書士の業務のう
ち「書類の作成(作製)」という文言は、国民の識字率が極端に低
くまた行政手続がまだ未明な社会状況で、その社会状況に適合する
よう使われた言葉でした。

 問題は、このような状況で推移してきた「行政書士の業務」に関
する規定が大きく変化したのは、昭和五十五年の改正からだと言え
ると思います。

 この年は、社会保険労務士との間でその業務の分離が行われまし
た。

 と同時に、この年の改正によって第1条の2が追加され、「提出
代行」と「相談」業務が明確化されたことになっていますが、この
改正はむしろ「書類の作成」と「提出代行」や「相談」業務を分離
し、さらに後者には罰則をかけないこととすることによって、行政
書士業務を本来社会的に求められている行政手続の申請代理という
ことから歪曲させているという非難が生じる余地を残してしまって
いると解されるべきであろうと思われます。

 このあたりは制度の基本設計の問題でもあり、また、国民が行政
書士に何を期待しているかという部分との重なり合いともなる重要
な部分であり今後とも真剣な論議が続くことを期待しています。

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※ この連載は、全国建設関係行政書士協議会(全国建行協)での
 友人である岡山県の“行政書士八尾信一氏”の提供です。

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【今週の一言】 9/8(月曜日)の“てんめい尽語”から

先週金曜日に、神奈川県行政書士会から講演会の開催案内がFAX
で送られてきました。見ると『憲法講話=「行政書士と憲法の精神
」』ということでの講演会だそうです。

なぜ、今“憲法”なのでしょう?
しかも、なぜ、営利を目的とする司法試験をはじめとする各種資格
試験対策塾の主宰者を会が講師として招請しなければならないのか
がよく解りません。さらには、研修部という内部に向けた組織が担
当し、内部向けの講演会だというのです。

私は、横浜一局中心主義のこうした講演会の企画をずっと批判して
きましたが、今回の“講演会”なるものは、時期といい、内容の説
明といい、また、講師の選定といい、全く納得できないものばかり
です。

決して、憲法の精神を軽んずるものではありません。が、今、とい
う時代を考えたときに、果たしてこのテーマでよいのでしょうか?
時代は劇的に変化しようとしているのです。「講演会」の開催に注
ぐ力をどうして“地域版中小企業再生協議会”に参入するための能
力担保づくりや「中小企業会計基準」などの研究に費やさないのか
が私には理解できないので困っているのです。

今、私たち行政書士を取り巻く環境・枠組み(スキーム)が大きく
変わろうとしているのです。しかし、今回の講演会の案内にはその
ことに対する危機感が全く感じられません。他の士業団体が、大変
な危機感を抱いて、必死に時代について行くための改革に取り組ん
でいるのに比べてあまりの危機感のなさに怒りすら感じます。

「失敗学」で言っていることを書きます。
「やるべきことをやって、失敗をしたなら、その失敗はなぜ起こっ
たかの検証が出来る。」「しかし、一番悪いことは、今の時代で起
こっていることを見ようともしない、又は、見ても理解できない人
々が、無条件にこれまでの繰り返しをしている。従って、起こって
いる変化に気がつかない。だから、何もしないでいることによって
取り返しのつかない事態を惹き起こしていると言うことだ。」とい
うことです

きつい言い回しになってしまったかもしれません。が、現執行部の
皆さんが、一刻も早く時代の変化に注目し、制度と会員のために危
機感を持って対応していただけることを強く願っているということ
をご理解いただきご容赦いただきたいと思います。
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【Ozeki-Letter】            2003.9.12【 第15号 】
(引用転載の制限はまったくございません。ただし、本文中第三者
の方からの提供による引用転載部分については、除きます。)

なお、このメルマガのバックナンバーは、下記をご覧ください。
   http://tenmei.pos.to/mail-magazine/index.html

【発行人】行政書士 小関典明(小田原支部会員)
     HP URL  http://tenmei.pos.to/
     e-mail ozeki-n@gyosei.or.jp
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