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mail magazine   Ozeki-Letter    2005.2.18【第90号】
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小田原支部の小関です。
 先週書いた、「忸怩たる思いに駆られています。」という部分に
コメントをいただきました。
つまり、「忸怩たる思い」は普通の人であれば(自分の行ないにつ
いて心のうちで恥じているさま)<森鴎外の引用>と取ると思いま
す。先生は自分を恥じているのではないのでこのような“表現はお
かしい”(この部分は筆者)というものなのですが。。。
 実は、このような表現をしたのは、前回の会長選挙において執行
部内における発言権を確保出来なかったことへの反省の気持ちを込
めた表現なので、ご理解をいただきたいと思います。
 「事務局機能検討特別委員会」の中間報告に限らず、これまで、
幾度かの特別委員会の中間報告に係わってきましたが、特別委員会
というのは、その時々の会運営における重要な課題を研究し、その
結果としての提言を中間報告として会長に提出するために設けられ
るもので、「会長はその中間報告の内容を理事会に議案として提出
し、本会運営上の資料として活用する」(設置規則第7条)ことに
なっています。が、、、
 それぞれの特別委員会では、多くの時間を使って集めた資料や情
報に基づいて真摯な議論がかわされ、それなりにまとまった中間報
告が出されるわけですが、これまで、ほとんど執行部内の運営に反
映されず、特別委員会の議論が徒労に終わった例は少なくないので
す。しかし、その中には、極めて貴重な提言も数多くあるというこ
とを是非知っていただきたいと思うのです。
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       〜ネット上での錯誤の問題〜

 前回は、ネット上での法律行為としての意思表示の問題を書きま
した。今回は、その意思表示に「錯誤」があった場合を検討してみ
たいと思います。
 「錯誤」とは、意思表示の生成過程での表意者の主観と現実との
間の食い違いをいい、民法では、錯誤により表意者が意識しないで
表示したものと、真意とが食い違っている意思表示を「錯誤に基づ
く意思表示」(95条)といい、その錯誤が「要素の錯誤」(意思
表示の要素に係わる錯誤)である場合は無効(同条但書)というこ
とになります。
 ネットワーク上での取引の場合、表意者がネットワーク上で行っ
た行為の意味を十分に理解していない、あるいは無意識に画面上の
ボタンを押すなどの行為を行ってしまったようなときに、これを錯
誤による無効であると主張できるかどうかが問題となります。

 最近では特に、携帯メールに書かれたリンクURLをついクリッ
クしてしまっただけで、利用規約に同意したものとして請求書が送
られてくるといった架空請求が横行しているという報道もあるほど
なのです。この場合には、「架空請求」という犯罪行為なので、無
視をすることが一番の得策なのですが、一般のネット取引において
も、興味本位で利用規約を読まずに同意ボタンを押したり、次々に
現れてくるウインドウにある「はい」のボタンを押し続けたりする
事は十分に考えられます。

 こうした本意とは異なる操作結果の多くは「表示の錯誤」とされ
、表意者の錯誤の主張が認められるケースは多くないというのがこ
れまでの実態のようです。パソコン操作を誤ってしまった場合でも
、民法では取引の安全確保の観点から、表意者側に「重大な過失」
がなければ無効の主張が出来るとしているので、「重大な過失」の
有無が問題となります。
 いまのところ、商品の取り違いに関しては「要素の錯誤」にあた
るものとされ、数量等の誤りに関しては数量及び価格に関して社会
通念上大きな開きがあると見られる場合には要素の錯誤とされうる
とされる(「インターネット、電子商取引の法務と税務」(ぎょう
せい))ようです。
                         (つづく)
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【今週の一言】 2/15(火)の『てんめい尽語』から
             http://www.ozeki-office.com/blog/

【士業団体の司法研修】
全国建行協の仲間が社労士会の司法研修に参加しているという情報
をくれたので、どんな内容なのかをつっこんでみたら、
−〈引用開始〉−
第一ステージはいわゆる法律そのものの講義のような感じでしたが
、第二ステージは前半3分の1が労働問題で特 に重要な部分(労働
条件引き下げ、解雇、配転・出向・転 籍など)の重点的な講義、3
分の1は法改正により認められたあっせん代理について、個別労働
関係紛争解決促進法の紛争調整委員会によるあっせんについての代
理(あっせん申請書、答弁書の作成を含む)について、のこりの3分
の1は和解、ADR、専門家倫理などです。
第一ステージが講師が大学の教授などだったのに対し、今回は全員
弁護士さんですね。それにしても自習もしないととてもとても時間
が足りないですね。第一第二あわせてたしか48時間かな。司法書
士会の簡裁代理権は100時間ですよね。やはりそのくらいは必要
だと思います。
−〈引用終わり〉−
という返事が書き込まれていたので、またまた勝手に引用です。
しかし、社労士会の本気を感じさせる内容ですねぇ。まぁ、法改正
後ですから法の適正運用のためには最低限の内容なのかもしれませ
ん。

行政書士制度も研修が義務づけられ、日行連では研修センターが立
ち上がっているのですが、その内容はまったく戦略性を感じないも
のなのです。今後の獲得領域をどう見定めているのかがまったく見
えてきません。

今必要な研修は、学生のような民法、商法などの実体法一般ではな
く、行政不服審査や非訟事件に関するものや、15年改正によって
業務となった「契約代理」としての専門家性を高めるものでなけれ
ばならないと思うのです。

ADRの代理人や著作権などの知的財産権に関するものが、どこま
で行政書士にとってマーケット性があるのかははなはだ疑問と言わ
ざるを得ません。しかも、それに向けた法改正や地位の獲得は極め
て難しいものがあるといわれています。であるならば、近未来に向
けて個々の行政書士事務所が経営を維持するために必要なマーケッ
ト(市場)を獲得するための戦略的思考が必要なはずです。

社労士会や司法書士会、さらには土地家屋調査士会においてもそれ
ぞれの立場で司法研修を行っています。そこには、司法制度改革の
中での地位とマーケットの獲得、ビジネスチャンスの創出という戦
略目標が必ずあるはずです。
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【Ozeki-Letter】            2005.2.18【第90号】
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【発行人】 行政書士法人 小 関 事 務 所
     代表社員 小関典明(小田原支部会員)
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      e-mail ozeki-n@gyosei.or.jp
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