2005.05.31
今朝の小田原は雨。昨日からまるで梅雨に入ってしまったかのような天気です。気温も低いです。
昭和の名大関貴ノ花、現双子山親方が55歳の若さでなくなったという報道がありました。年齢の近い我々の世代にとってはその数々の取り組みが鮮明な記憶として残っているだけに、本当に残念です。心からご冥福を祈りたいと思います。合掌。
今、「ボランティア NPOの組織論−非営利の経営を考える-」という本を読んで勉強をしています。これまで、営利企業の経営に関する本は数多出ているのですが、非営利組織の経営、マネジメントに関する本はなかなかなかったので、行政書士会のような非営利、公益社団法人のマネジメントを考える上でとても参考になります。
行政書士会というのは、基本的に一匹オオカミの自由業である行政書士が法律上強制的に構成員となって組織をされているので、なかなか組織という概念が生まれにくく、そのために組織原則や組織のルールを無視した行動がたびたび繰り返されてきました。
たとえば、中央省庁とのやりとりで、「行政実例」(先例)を引き出すには、問題を認識した会員が所属する各都道府県行政書士会を通じて会長名で、日本行政書士会連合会(日行連)に正式に申達し、それを受けて日行連のしかるべき部署の責任者が省庁との折衝を行い、回答を引き出して、しかる後に正式に日行連会長名で文書を出し、省庁の権限のある回答を文書で引き出すことによって正式な「有権解釈に基づく行政実例」ということになるのですが、往々にして、一会員行政書士、あるいは地方の一支部長名でいきなり、中央省庁の担当部署に「質問状」なるものを送付したり、電話を掛けて抗議まがいのことをいったり、果ては、直接出向いて交渉したりといったことが起こります。
それがなんでいけないのか。と思われる人もいるのかもしれませんが、そう思われる方々は組織原則を知らないか、あるいは無視をしてもかまわないと思っていると考えられます。そのような行動や言動が、どれほど日行連の体面を傷つけ、組織としての権威をおとしめているかを考える必要があります。私は決して権威主義者でも世間体を最優先に考える人間でもありません。要は、組織というのは、原則やルールを踏み外しては成立しないということなのです。
そして、その原則やルールを守るという土台の上に信用と信頼を築き、共通理解を深め、協働によって目的を達成するために成果を上げることが必要なのです。
2005.05.30
今日の小田原は、久々に朝から雨模様です。気温もかなり涼しく感じています。
一昨日(土曜日)に千葉県行政書士会の総会懇親会に会長代理として参加をしてきました。
が、期待をしていた河崎会長さんの再選がならず、大変残念でした。ただ、千葉会は、政治連盟の大会を先にやる慣習になっているようで、そちらでは会長になられたということで、本会と政連の会長が別々になったそうです。
今週は、まだ会のスケジュールが動き出さないので、決まった予定はありません。しかし、執行部人事の詰めをしなければならないので、いつでも対応できるようにはしていようと思います。
今週金曜日は、Ozeki-Letter(メルマガ)の有償発行第1号を発行しなければならないので、その準備に勤しみたいと思います。有償発行については、様々な意見や考えがあることと思います。また、代金の決済方法がクレジットカードとなっているため、カードをお持ちでない方々から「購読したいのだが、カードがないので出来ない」というメールが何通か寄せられています。
決済方法については、マグマグの規約で決められており、当方ではどうにもならないので、ご了解を頂きたいと思います。何かのおりにカードを作ったときには是非購読を申し込みいただきたいと思います。
今後発行するメルマガについては、いち早く情報を得られる立場を獲得できましたので、情報をなるべく早く咀嚼して提供していくことと、情報をビジネスチャンスに変えるための問題提起を積極的にしていきたいと考えています。また、会と制度を考える上で必要な知識や考え方も書いていきますので、是非、積極的なご購読をお願いしたいと思います。
お申し込みは、このサイトのOzeki-Letterのページから、マグマグプレミアムに入り、申込画面右側にある「初めての方はこちらから」という文字をクリックしてマグマグの会員登録を行ってください。登録が完了するとメールでパスワードが送られてきます。もちろんメルマガは、自動配信されます。
2005.05.27
小田原は今日も晴れています。
昨日の小田原電設業協同組合での講演は、参加者が26名ほどでしたが、皆さんが熱心に聞いていただき、私も、当事務所のクライアント会社の社長さんが何人もいたので、気持ちよく話すことが出来ました。
題が「電子入札と電子証明書の話」というつまらないものだったのですが、中身はほとんど工業化社会ら情報化社会へ移行しつつあることや、情報化社会は「脳化社会」であり、知識労働の生産をあげることによって豊かさを享受する社会であること。そして、IT化は単なる電子化ではなく、あらたか置換、それに基づく社会規範、文化を生み出すものであり、その理解無しに単に電子入札に対応するために電子化しただけはなんにもならないことなどを話したのでした。もちろん、電子入札とCALS/ECの話や、電子証明書の話もそれなりにしてきました。
講演のあと、組合の幹部の方々と懇談をして帰ってきましたが、やっぱり、F2Fでの語り合いが大事なことを実感してきました。
組合の方々もいっていましたが、組合や協会といった業界団体はまさに従来型の思考や手法だけではもはや立ちゆかなくなるのは時間の問題であろうと思われます。公共工事という側面から見れば、各業界が単独でものをいうのではなく、「公共工事という産業」の中にいるすべての業界が業種を越えて横断的な組織を作り、地域のコミュニティや行政を巻き込みながら、建設投資が減少していく中で地場の基幹産業としての建設業、そして地域の防災、災害復旧に必要不可欠な建設業をどう守っていくのかという議論をしていかなければならないと思うのです。
2005.05.25
今日の小田原は晴れ。ただし、夕方くらいから崩れるという予報です。
いよいよ、今日は神奈川県行政書士会の定時総会、そして会長選挙の日です。12時45分の開会なので、10時過ぎに事務所を出て横浜(県民ホール)に向かいます。
しかし、ウィークデイでしかも週のど真ん中の総会というのは考えものです。実際、仕事をしている中堅の専業行政書士にとっては非常に出づらいという意見は多くあるようです。
総会をウィークデイにしたのは、理事会や執行部の会議が平日に皆さんの犠牲の上で行われているので、年1回の総会で会員の皆さんにその点での負担をおかけしてもいいのではないかという考えで、あえて平日を選択した経緯があるのですが、やっぱり、なるべく多くの会員が出やすい環境をつくることも執行部の責任なのだと思います。
また、今回の選挙は5人もの候補者が立候補をしていますが、数百人レベルの時代のやり方をそのまま維持する形で、1,800超の会員数になった今も総会出席者による直接選挙で行われます。
全会員の投票権を保証するために郵送方式にするとか、東京や埼玉のように総会構成員を支部選出の代議員制にしてその中で選挙を行うとかの方法などを十分に研究をして改革していかなければならないと考えています。
今日の結果次第ですが、これから1年は、目に見える形で改革の成果を出していかなければならないと思うのです。そのためには基本的な戦略目標を立て、その目標に向かって出来るところから一つ一つ地道な努力を積み重ね、実質的な改革を促していかなければなりません。そのために微力を尽くしたいと思っています。
2005.05.24
今日の小田原は雲が多いながら晴れています。
昨日の日経の社会面に「法教育 中学の授業に」という記事があり、横浜の中学での事例が紹介されてました。
「法教育」というのは、子供の頃から法的なものの考え方や司法の役割に親しんでもらう目的で、「裁判員制度」を睨んで、法曹界が旗を振る一策だそうです。横浜では、横浜弁護士会の弁護士が社会科の教諭と共同で準備をしたようです。
確かに、子供の頃から法的な素養を身につけることは大切なことだと思うのです。「裁判員制度を睨んで」というフレーズはちょっと気にはなりますが、子供の教育に目をつけたところはすばらしいと思います。
時代が大きく変わる中で、社会における価値観やその価値観に基づく規範(ルール)も大きく変わろうとしている現代においてこれから社会に出て行く子供たちに法的なものの考え方や守るべきルールを正しく認識してもらうことは極めて大事ですし、今後司法制度改革の進展と共に事後救済社会が整備され、国民一人一人が自己責任で情報を収集し、その情報に基づいて判断をするといった極めて自律性の高い社会生活を余儀なくされることになります。
その事後救済社会において国民の権利を擁護し義務の履行を支援する立場にある私達行政書士も何らかの形で子供の教育にコミットしていくことを考えなければならないと思うのです。
2005.05.23
今日の小田原は晴れ。爽やかな風がそよいでいます。
神奈川県行政書士会の会長選挙がいよいよ明後日に迫ってきました。それぞれの候補者、支援する人々にとって最後の追い込みに躍起になっていると思われます。
私は、冷静で客観的な立場で今回の選挙を見つめています。むしろ、どの候補が勝つにせよ、重要なのは、その後の執行体制をどうつくり、改革に向けた体制をどうつくっていくのかが重要な問題なのです。
行政書士会という「非営利組織」の組織経営(マネジメント)を考えていく上で、“場”とは何かを考える必要があるのだと考えています。
“場”とは、「議論する“場”がほしい」とか、「“場”の雰囲気」とかの“場”なのですが、組織の中で“場”をうまくつくり、“場”を活用して(通じて)人々の間の交流を活発にし、その中で、人々が互いに情報を交換し合い、影響し合い、人間関係を築くことによって、共通理解をつくりあげていく作業が必要になります。そうした“場”が生まれれば、そこにいる人々が相互作用(互いに影響し合う)の中で、しかるべき自分で判断してくれて、組織運営の実務が動いていくことになります。
そのためには、トップがあらゆる会議に出席し、自分の口で組織全体の目標や、方針、基本理念などをきちんと説明し、会議の“場”に参加した人々の共通理解を促し、人々が、意識・無意識のうちに相互に観察しあい、コミュニケーションをおこない、相互に理解し、相互に働き掛け合い、共通の体験をする。と、いった“情報的相互作用”を生み出す組織風土を創り上げていくことが重要なのです。
“場”をうまくマネジメントすることによって、人々は必要な学習を行い、成長していきます。逆に“場”をうまくマネジメントできない組織の中では、人々は学習するインセンティブは働かず、それぞれが勝手な行動をし始め、互いに影響し合うことが出来ないため、人々が成長することが出来ません。
つまり“場”が人々を育てるのです。選挙後に組織される新たな執行部は、このことを理解し、“場”を活かすことによって成果を上げられる組織作りをしてもらいたいと強く思います。
もちろん、選挙の結果、私がしかるべき立場を確保した場合には、全力を挙げて実践をしていきたいと考えています。
2005.05.20
今日の小田原は曇り。薄日は差しています。
今日は金曜日。通常であればメルマガの発行日なのですが、6月3日からの有償メルマガの発行までしばしお休みなので、何となく手持ちぶさたの朝です。
事務所はといえば、神奈川県と32市町村の共同運営による入札参加資格認定申請の業務が佳境に入り、スタッフ全員があわただしく出たり入ったりを繰り返しています。なので、今日午後に出席を予定していた第18回建設産業史研究会には残念ながら欠席をせざるを得なくなりました。私は今日一日事務所での電話と接客対応です。
神奈川県行政書士会は、来週水曜日の会長選挙に向けて横浜、川崎方面はかなり盛り上がっているようです。が、小田原にはなかなか情報が入ってこないので、よくわからないというのが本音のようです。
ただ、2年前、私もただ一人、ネットを使って自分の政策をアピールしましたが、今回も、ただ一人この人だけがネット上に選挙用のサイトをつくって政策を訴えていますので、一見の価値はあるのかなぁなどと思っています。
ところで、昨日あるところからの情報で、盛武前日行連会長(現名誉会長)が滋賀会の会長に返り咲き、再度、日行連会長の座を目指しているという話がありました。これにはちょっと驚きましたが、自らつくった「3選禁止」規定は、一期退けば次期会長選挙には出られると言うことらしいので、「まだやり残したことがある。」という思いが強ければ、そういう戦略もあり得るのだと思います。
私自身は、盛武氏との親交もあった時期があるので、決して嫌いな人格ではありませんし、何よりも組織を運営する上で、外部情報を重視し、且つ、中央省庁の審議委員等の席を獲得した手腕には大いに敬服するところがあります。そのことは、今の時代の中での変化がよく見えている人だと思えるのです。その意味では、歴代会長の中で最も会長にふさわしい人だといえるのかもしれません。
確かにワンマンであるとか、一人で何でもやりすぎるとかの批判は根強くあるようですが、小泉首相のように改革を旗印にした人は、実際がどうあれ、守旧派というか改革を良しとしない人々からはそういう誹りを受けるものだと思うのです。ある意味、日行連会長を3期6年もやってきたのだからもういいではないかと思う反面、もう一度、情報化社会という新たな社会システムに対応していくために日行連、行政書士制度全体を引っ張ってほしいという期待感をもちます。そして、願わくば、一緒に仕事をしてみたいとも思います。
2005.05.19
今日の小田原は、早朝まで降っていた雨が上がり、徐々に青空が広がっています。風はありますが、気温がぐんぐん上がっているようです。
メルマガの有償購読の申込が全然増えません(シュン T_T;)。これまで100号の実績はいったい何だったのでしょう。と、考えると落ち込みます。_| ̄|○ガクッ
先週、今週とメルマガを書かない週が続いています。楽だな〜と思う反面なんだか寂しいような、手持ちぶさたのような気がしています。再開第1号(実質101号)は6月3日の発行なので本会総会が終わったら準備を始めようと思っています。
これまでは、啓蒙することを目的に書いてきましたが、今後はさらに、本会執行部に復帰し、広く情報を確認できる立場で書けると思うので、社会の変化の状況や、それに対する会組織の動きや考え方を出来る限りリアルに書くことを心がけていきたいと思っています。もちろん、自分の責任の範囲においてではありますが。
情報化社会がどんどん形成されていく中で、その変化を見定めて行政書士制度や個々の行政書士の皆さんが新たな社会システムの中でも維持発展して行くために有益な情報を提供していきたいと考えておりますので、積極的な購読を宜しくお願いいたします。
ところで、来週26日木曜日(本会総会の翌日)に地元小田原の電設業組合から総会と併せて行う講演会の講師の依頼を受けています。お題は、「電子入札と電子証明」の話と言うことなのですが、聴く側にとってこれは決して面白い内容にならないので、悩んでいます。が、この際、はじめに今の時代認識から入ろうと考えています。1時間30分のうち1時間はその話にしようと思うのです。
今、神奈川県と32市町村の共同運営による入札参加資格認定の電子申請の真っ最中なので、その後に来る電子入札、電子納品がかなり話題となりつつあるのですが、IT化とは何か、情報化社会とはどんな社会なのかという基本的な理解はほとんどないようです。だからこそ、その基本的な理解を促すことが大事だと思うのです。
2005.05.18
今日の小田原は時折日は差してはいるものの雲が多く曇り(微妙)。風がけっこう吹いています。
昨日全国建行協のサイボウズに今月13日に開かれた中央建設業審議会(中建審)「入札契約の適正化に関する検討委員会」に提出された資料がダウンロードできるとのHP情報があり、早速ダウンロードをしてすべてを印刷し読んでみました。約100ページにわたり、資料1〜12に分かれているのですが、けっこう読みでがあります。ここで内容を書くことは出来ませんが、各資料の標題を列記しておきます。
資料1 委員名簿
資料2 入札契約制度の見直しの基本的な方向性について
資料3 経営事項審査の見直しについて
資料4 各発注者における格付け、競争参加資格設定等のあり方について
資料5 企業の総合力による競争を促進するための入札方式等の見直しについて
資料6 低価格入札に対する対応について
資料7 監督・検査の実施について
資料8 工事の施工状況の評価(工事成績評定)の実施について
資料9 不良・不適格業者の排除について
資料10 談合等の不正行為の防止について
資料11 第三者機関の活用と苦情への適切な対応について
資料12 業者選定のための情報サービスの充実について
資料1は委員の名簿なので、中身はありませんが、資料2以降は、検討すべき事項がびっしり書いてあります。13日の検討委員会でどのような議論がなされたのかを知りたいものです。また、各資料には、添付の資料があり、かなりの情報量となっているので、これも活用したいものです。
特に気になったのは、やっぱり我々行政書士に関する記載で、資料9の2の④に「虚偽申請に関与したものに対する措置」という項目があり、行政書士が名指しにされ、「虚偽に関与したものが特定できる場合には、その責任を問うための措置」を検討するとあります。
建設業許可、経審、入札参加資格認定の申請については、確かに行政書士の関与率が高いので、一人行政書士だけが名指しにされることは仕方がないのかもしれません。しかし、いかにも行政書士が「虚偽に関与」しているかのような書き方はしてほしくはありません。
日行連農林建設部では、「経審虚偽申請防止マニュアル-適正申請の指針」を作成・公表し、虚偽申請防止及び抑止のために努力をしているわけで、その点をもっと考慮してほしいと思うのです。
その他の検討項目については、もう少しきちんと読んで、その方向性を探りたいと思っていますが、検討委員会での議論がどのように進んでいくのかを注意深く見ていかなければならないと考えています。
2005.05.17
今日の小田原は、昨日に引き続き快晴です。風が少しありますが爽やかです。
昨日届いた「行政書士かながわ」5月号に「神奈川県行政書士会法制史(歴史ワーキング)の趣旨と経過報告」(P50)という一文が載っていたので、反応してしまいました。そもそも標題からしてこの歴史WGというのは神奈川行政書士政治連盟のWGであって神奈川県行政書士会ではないのですが、同誌1月号に掲載された「「徳川幕府公許公事宿」の代書人行政書士の活躍」という戸塚支部の会員個人名で書かれている文章について、その文章を書くための調査・執筆料として政治連盟の予算から十数万円が支出されていることを正当化するための文章であることに驚きます。そして、同様の文章が政治連盟定時大会議案にもあるのです。
早速、1月号掲載の論文(?)を読み、「趣旨と経過報告」を検証し、反論文章を書くことを思い立ち、昨日2時間ほどかけて書き上げました。しかし、一晩考え、反論文書として書いては大人げないし、読者である会員の皆さんから見て「空中戦」になるような論戦では意味がないということに気がついたので、『歴史から何を学ぶか』という論点からきちんとした論文を書くことにしました。
問題は、日行連の出版した「行政書士50年史」でもそれに近い立場を取っていますが、明治5年の太政官布告無号達「司法職務定制」による代書人を行政書士の法的起源と見るかどうかなのです。1月号掲載論文では、それ以前の公事宿・公事師までも強引に「代書人行政書士」と見なす立場で書かれているのですが、本当にそれが正しい歴史認識なのでしょうか。もし、公事師・公事宿→司法職務定制の代書人→行政代書人→行政書士という経緯をたどったのだとしたら、なぜ議員立法なのか、なぜ所管が内務省→自治省なとなったのか、また、大正8年の司法書士法は司法省が国会に提出した法律なのに大正9年の代書人規則はなぜ内務省令になったのか、明治30年代に全国各地の条例によって出来た「鑑札代書」はなぜ出来たのか。そして、司法省の組織を定めた司法職務定制の後年、明治7年に内務省が出来たときになぜ代書人は枝分かれをしなかったのか。ざっと挙げるだけでもこれだけの疑問が出てくるのです。
私の行政書士制度の歴史観、歴史認識についてはここで何度か書いてきました。それは、官製ではなく、市井の有識者による代書・代筆活動という地域のコミュニティから生まれ、その要求によって条例が作られ、それがさらに国を動かし、内務省令という形で国の制度となり、戦後勅令廃止によって代書人規則が廃止された後にも条例として復活し、その民意が国会を動かし、議員立法という形で行政書士法が誕生したという立場での理解なのです。その理解によってこそ、前述した疑問にすべて答えられるものであると考えています。
そして、その歴史観は、他の資格制度のような官製のもの、つまりヒエラルキー思考から生まれた制度ではなく、まさに、これから21世紀型社会の問題解決の手法であるコミュニティソリューションによって生まれてきた制度であることを示しているのだと考えるわけです。