小関ブログ

リーガルマインド

今日は風もなく穏やかな晴れです。暖かい朝ですが、昨夜久々に飲んだお酒が効いてしまい、疲れを感じたので、車で出勤です。
昨日は、横浜技能文化会館で行われた「リーガルマインド、倫理、そしてADR」という神奈川県行政書士会法人法務部主催の研修会に行ってきました。
講師は、桐蔭横浜大学法科大学院教授で弁護士の大澤恒夫氏で、さすがに聞き取りやすい口調でしたが、題材が“リーガルマインド”というとても説明がしにくいものだったのでPPTでの資料づくりや参考資料の準備が大変だったと思います。
“リーガルマインド”という言葉は、よく簡単そうに使われている言葉ですが、実際に説明をしようとすると大変難しいものだと思います。それは、20世紀末から徐々に使われはじめ、今世紀に入って政府の発表する様々な文書で目経つようになってきた“カタカナ語”に共通しているのですが、その言葉の背景となっている文化を無視して言葉だけを感覚的に取り込んでいるために直訳すると全然意味が通じないものや別の意味になってしまうもの、日本語で説明をしようとすると何行にもなってしまうものなどが氾濫しているのだと思います。


昨日の話は、講師自身が疑問符付きで、確定的に説明をしたものではありませんでしたが、それなりに聴き応えのある内容で、特に印象に残ったのは、専門家としての職業倫理に関するものを中心にした解説で、「反省的実践家」という話や、杉本良美著『「良い仕事」の思想―新しい仕事倫理のために』という本からの引用紹介で、

(1)良い仕事は、仕事を意味あるものとみなすことを前提とする。
(2)良い仕事は、仕事に対する真剣で責任感ある態度を求める。
(3)良い仕事は、生活の必要を満たす。他者に負担をかけないし、働けないものを助けることができる。また、他者に従属しない独立し自立した生活を可能にする。
(4)良い仕事は、共同生活に貢献する。他者への貢献や共同社会への貢献など、全体を豊かにする仕事である。
(5)良い仕事は、善い生き方と重なる。
(6)良い仕事は、平行の摂れた生活と共にある。仕事と余暇、仕事と家庭、個人と社会など、仕事と他の領域との間の平行に配慮を欠いた仕事は、良い仕事ではあり得ない。
(7)良い仕事は、魅力的である。
(8)良い仕事は、個人を成長させる。良い仕事は、各自に与えられた能力を活かすと共に、他者との交流を通して、個人の成長を促す。
(9)良い仕事は、個人を超える価値につながる。・・・共同的な価値さらには普遍的な価値と結びつく。
(10)良い仕事は、求めてはじめて得られるものである。・・・特定の職業がそのまま良い仕事なのではない。良い仕事は『何がそれであるか自ら考え求めてはじめて得られる。』

「良い仕事」の思想―新しい仕事倫理のために
杉村 芳美
中央公論社 (1997/10)
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というもので、一つ一つの言葉がその通りであると思えるもので、大変感心しました。私も“良い仕事”が得られるよう心して頑張りたいと思います。
後半のADRに関する話は、今行政書士会が取り組んでいる認証取得に向けて大変良い示唆をもらったという思いがします。ADRについては、行政書士の職域の中でどこまで具体化できるかは未知数ですが、事後救済社会の中で果たすべき役割は必ずあるものと考えています。
帰りの電車の中で、資料としていただいた大澤氏が書かれた法律時報掲載の文書を読みましたが、その中でいわれている「応答的社会」という言葉ははじめて目にするものでしたが、山岸教授のいう「信頼社会」と共通する概念であるという理解をしました。集団的管理を中心に据え、「安心」を提供した社会から、自立した個々人の相互的尊重を目指す「信頼」を基礎とした応答的社会像という理解です。
先に紹介した同じ桐蔭横浜大学法科大学院教授である郷原氏が書いた『「法令遵守」が日本を滅ぼす』の中でいわれている『「非法治国家たる法令国家』であることを前提にした場合、昨日の話のリーガルマインドとはどのように解釈するべきなのかを考えていかなければならないという印象を強く持った次第です。

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