小関ブログ

行政書士の代理権を巡る議論

今日は曇り、比較的暖かい朝です。機能は怪しい天気のまま結局雨は落ちてきませんでした。
今日は、行政書士の法定代理権について若干私見を述べてみたいと思うのです。
この問題は、先月農水省との協議を通じて得た情報をここでも書きましたが、未だに日行連内部でこの法定代理権に関する見解が統一されておらず、妙な展開をしていきそうな雲行きになってきたので、改めてこの問題を考えてみたいと思うのです。
平成14年7月の行政書士法の改正によって法第1条の3第1号の代理権と2号の代理権の規定が新設され、行政書士の業務に新たに法定代理業務が加わったのですが、1号代理権とは

1 前条の規定により行政書士が作成することが出来る官公署に提出する手続について代理すること。

という規定になっており、法文上も明確に「提出する手続を代理」という表現で「申請手続代理」であることを定めています。つまり、官公署に提出する書類=許可、認可、届出等の書類であり、その申請(=提出)は、公法上の行為であり、その代理は、事実行為としての“手続代理”であり、民法による“意思代理”とは区分される概念であるという意味なのです。
行政書士の中にこのことを理解しない方々がおり、この1号代理においても“包括代理”を目指すのだ。という主張を展開されるので、混乱が生じているのだと思われるのです。
公法上の申請手続において“包括代理”といった場合、申請人の申請意思をも代理すると言うことになってしまい、農地法第5条による転用許可申請のような譲受人、譲渡人が共同して申請しなければならない場合に、民法108条の適用を受け、双方代理が出来なくなるばかりでなく、申請人の申請意思の決定を待たずに代理申請が可能な場合が生じてしまいます。
行政書士の側が、この1号代理権が“包括代理”であるというのであれば、それらの問題を理論的に解決しなければなりません。しかし、司法書士の登記申請代理を巡るこれまでの判例や行政法の解釈等を検討する限りにおいては、公法上の行為における“意思代理”を認めるものはないので、社会的には“特異な議論”にならざるを得ないのが現実だと思うのです。
日行連がこの代理権の解釈に関する統一見解を一日でも早くまとめ、公表することを期待したいものです。

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