Ozeki - Letter

第96号

Ozeki-Letter

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mail magazine   Ozeki-Letter    2005. 4.8 【第96号】
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小田原支部の小関です。
今日から全国建設関係行政書士協議会(建行協)の長崎フォーラムが長崎プリンスホテルで開催されます。
私もこれに参加するべく、今羽田からこのメルマガを発信して後長崎行きの飛行機に搭乗します。
フォーラムは、全国建行協の春の恒例行事で、全国の会員が一堂に会して研究を行う“学会”ともいえるイベントです。毎年の総会で、翌年の開催場所を決定し、地元の会員を中心に実行委員会を組織して準備をしています。
今回の長崎フォーラムは、
建設業文明開化 「経営力が未来を拓く」
というテーマで、一日目の今日は、北海学園大学教授の阿座上(あざがみ)洋吉氏の「未来を拓く建設業経営設計」という講演と国土交通省総合政策局建設業課 課長補佐 鈴木 貴典氏による中小建設業の再生について(仮)」の講演が予定されています。
今夜は懇親会が開かれ、久々に会う皆さんとの親交を深めます。二日目は、午前中に建行内部の様々な研究会の研究発表が行われ、昼に解散となります。今回は、建設業コンサルタント研究会のコンサル支援ツールに関する研究発表やISOマネジメント研究会の発表が予定されています。

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【業務実践講座】            IT時代の法務知識⑧
~電子消費者契約法~

電子消費者契約法とは、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」のことで、平成13年12月25日に施行されました。
この法律は、BtoC(事業者対個人)の電子商取引の簡便性・迅速性といったメリットを最大限生かすために①消費者の操作ミスによる錯誤、②隔地者間の契約成立時期について、民法の原則を修正するものです。
①消費者の操作ミスによる錯誤
これは、「消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合」をいい、「無料」画面だと思ってクリックしたら「有料」で代金を請求されてしまったというケースや、1つ注文したつもりが2つ注文したことになっていて、同じものが2つ送られてきたというトラブルが発生した場合、商店がそれらを防止するための適切な措置をとっていないと消費者からの申込み自体が無効となるということです。
以前ここでも説明したように、従来の民法に基づく当事者間の責任分担では、判例の蓄積を待たなければならなかったのですが、この法律によって「事業者が意思表示の内容の確認のための措置を講じていない場合には消費者は当該電子消費者契約に拘束されないこととなりました。
(事業者が取るべき措置)
事業者は、申込みボタンを押した後に、消費者が入力した申込み内容を一度確認させるための画面などを用意する必要があります。また申込みボタンを押す=購入(有料)であるということを、ボタンを押す前にわかるように明示しなくてはなりません。

②隔地者間の契約成立時期
隔地者間の契約の成立時期について、民法は「承諾の通知を発したる時」と規定していわゆる発信主義を採用しています。(民法526条第1項)しかし、それは立法当時の郵便事情などから承諾の通知が相手方に到達するまでに数日間要するという前提での規定であり、ほとんど瞬時に相手方に意思表示の通知が到達する電子的な方法を用いる電子商取引のルールとしては適切ではないということから電子商取引における契約の成立時期については「到達主義」に転換する措置がとられました。
つまり、電子契約では、事業者側の申込み承諾の通知が消費者に届いた時点で契約成立となります。
(事業者が取るべき措置)
注文・申込みがあった場合、申込み承諾の連絡をし、かつそれが申込み者に届かないと(法律上では)契約成立となりませんので、必ず承諾の連絡を行ってください。電子メール、FAX、テレックス、留守番電話を利用した電子契約などが対象となります。ただし、電話を使用して対話しながら承諾を行う場合には適用の対象となりません。
(つづく)
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【今週の一言】 4/6(水)の『てんめい尽語』から
https://www.ozeki-office.com/blog/

【中小企業会計の指針】
今朝の日経新聞一面トップに「日本商工会議所、企業会計基準委員会、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会が検討委員会を設置し、『中小企業の会計に関する指針』の策定作業に入った。」という記事が掲載されています。この動きは、新会社法制によって制度化される会計参与の活用を狙ったもので、またしてもなぜここに財務諸表の作成権限を持つ行政書士制度の運用を担っている日行連が入っていないのかという忸怩たる思いに駆られています。

記事にあるように「大企業のリストラが進展、産業再生の焦点が国内の圧倒的多数を占める中小企業に移る中で、中小の会計透明化が不可欠」となっていることは明らかであり、これまで、ほとんどの中小企業が、税務申告のために財務諸表を作成すると言うことで、本来商法施行規則や企業会計原則に従った計算書類の作成を義務づけられているにもかかわらず、税法基準で簡易な計算書類が作られている状況であったので、会計基準が統一されておらず、この点の克服を目指しての指針作りと言うことのようです。

財務諸表の作成については、「公認会計士、税理士、行政書士の競合業務」であるとする有権解釈があり、行政書士にもその作成権限があることが認められているにもかかわらず、新会社法での会計参与としての地位の獲得もままならず、今回の新会計基準の策定についても蚊帳の外に置かれているというのは、本当に情けない思いでいっぱいです。

行政書士は、業許可をはじめとする業行政の中で、直接中小企業の経営に関わる業務を行っており、許認可によって求められる商法基準に基づく財務諸表の作成を担ってきました。今、変わりつつある情報化社会の中で、会計はまさに重要な位置づけをされていきます。行政書士業務の新たな展開を期する上で会計に関する業務は必須になることは自明のことだと考えています。

この記事に関連して、経産省が中小企業会計の指南役を養成するために、「公認会計士と税理士向けに、経営計画の作り方、財務上の問題解決法などを巡る中小企業大学校の講座を今年夏にも開設する」としています。

ADRや司法参入のための研修制度も必要なのかもしれません。しかし、今、行政書士にとって現業務直接結びつく分野としての会計業務はさらに重要であると思うのです。今からでも、経産省に働きかけ、予定されている中小企業大学校の講座に行政書士も参加できる道を切り開いてほしいと心からそう思います。

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【Ozeki-Letter】            2005. 4.8 【第96号】
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なお、このメルマガのバックナンバーは、下記をご覧ください。
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【発行人】 行政書士法人 小 関 事 務 所
代表社員 小関典明(小田原支部会員)
HP URL  https://www.ozeki-office.com/
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