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(31)「企業会計原則」について④

 前回は、会計原則等の要点をごく簡単に説明しました。今回は、損益計算書原則を中心に説明していくこととします。

 損益計算書を商法上は商法計算書類規則で、『経常損益の部』、『特別損益の部』の二つに分け、経常損益を営業損益と経常損益に分けることとされています。
 最初に、この中の各『利益』について考えてみたいと思います。

 利害関係者が損益計算書の中で、重要視するところは種々ありますが、その中でも『売上総利益』、『営業利益』、『経常利益』の三つは絶対外せないところだと言われています。(ここで『・・利益』と表現しているのは分かりやすくするためで、 正確には『・・ 損益の部』の『・・利益』と表現すべきなのです。)

 さて、なぜ利益を上記のように何段階にも分けているのでしょうか。企業がいくら儲けたのかだけを見るのならば、税法計算のように最終利益だけをみれば良いのです。

 しかし、企業がどのような営業活動でどのように利益を出したのかを見るためには、それだけでは、情報が足りません。

 企業はその目的である利益を得るために、企業の目的に掲げた事業だけでなく、事業資金を調達するための財務活動や、また余裕資金がある場合には、その資金を運用するために投資活動など、様々な附帯事業を行います。

 そのため利害関係者は、企業の経営状況を理解するには最終利益の大きさだけでなく、それぞれの利益の段階でのその利益の発生源泉、さらに企業の本来目的である事業活動や、それに付随する財務・金融活動などの効率性をも理解する必要があるのです。

 具体的に説明してみます。

 まず、事業目的である、本来の事業での利益はいくらなのかを見るには、『営業利益』を見る必要があります。

 営業利益も販売活動や、管理費用を除いたところの利益、すなわち『売上総利益』を見なければ、その企業の競争力が強いのか、弱いのかが分かりません。

 『経常利益』は、営業活動でない資金の調達や運用等により生じた利益や費用を表示するもので、企業の経営活動の結果を表示するものです。経常利益がよく利用されるのは、そういう意味で企業の総合的な収益力を示すものであるからです。

 次に『税引前当期』は企業の事業活動とは関係なく生じた固定資産の売却損であるとか、災害などによる損失など、また当該決算期以外の期間での損益の修正などの特別利益や特別損失を加減して、表示されます。

 経常利益と税引前利益の額を見ることによって、その企業が業績が悪いところを土地や株等を処分して無理に利益を出しているかなど、本来の営業活動以外の情報が示されているのです。

 『税引前当期』から、利益に課される税金を差し引いて表示されるものが『当期利益』です。

 ※この連載は、鶴見・神港支部の望月さんの執筆によるものを転載させていただいています。

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