今回から鶴見・神港支部の望月さんが全国建行協MLで書かれている「会計の基礎知識」という連載をここに転載させていただくこととしました。もちろん望月さんの快諾をいただいてのことですので、宜しくお願いいたします。
望月さんは、会計を基礎からきっちり学ばれ、会計業務に精通されているので、行政書士にとって必要な会計の基礎知識を充分に提供していただけるものと期待をしています。
今回は「企業会計原則」について、説明します。
1.「企業会計原則」(以下「会計原則」という)は各会計制度でのベーシックルール
会計原則の各条文の紹介や解説は、いろいろな書籍が出ていますし、ボリュームも相当なものになってしまうので別の機会に譲ることとさせてもらいます。
ここでは、全体像の概観について、外部に対する財務情報の開示という側面から触れてみたいと考えます。
(1)会計原則はなぜ必要なのか
財務諸表は主に、外部の利害関係者に対して、当該企業の財務情報を伝えるために利用されているものです。
債権者は、取引の拡大・縮小等について、投資家は投資先の選択等について、その他の利害関係者もそれぞれその判断や意思決定の重要な材料の一つとして財務情報を利用しています。経審の中のY評点も、ランク付けに大きく関わっています。
したがって、これらの利害関係者が適切な判断や、意思決定を行うためには、財務諸表の作成が明確にされた会計処理や表示のルールに従って処理され、かつ作成されたものでなければならないのです。
会計原則は、主観的判断や政策的考慮によってゆがめられる恐れがある財務諸表を、社会一般に公正妥当と認められた一定の原則を要約し、定められた企業会計の基準です。
昭和24年7月に会計原則は作成公表されたものですが、上記の理解をしていただくための参考に、目的の中の一部を抜粋します。
『我が国の企業会計制度は、欧米のそれに比較して改善の余地が多く、且つ、甚だしく不統一であるため、企業の財政状態並びに経営成績を正確に把握することが困難な実状にある。我が国企業の健全な進歩発達のためにも、社会全体の利益のためにも、その弊害は速やかに改められなければならない。』