小関ブログ

厚生年金給付のための特例法案

今日は、朝から雨が降ったり止んだりで、時折強く降っています。予報では、台風の影響で梅雨前線が刺激され、西日本から東日本の広い範囲で大雨に注意が必要ということでした。
週間予報では、今日から日曜日にかけて雨になるようで、今週末に予定している郡上八幡への家族旅行が心配ではありますが、雨の郡上もまた楽しからずやです。
今日付の日経新聞一面トップの記事に「厚生年金給付のための特例法」として、「保険料を納めなかった企業から2年の時効を超えて徴収できるようにし、倒産等で企業が既に存在しない場合は旧取締役から徴収できるようにする」ことが検討されているとあります。
確かに、企業が従業員から徴収した保険料を納めなかったために、その従業員が年金給付を受けられないというのは理不尽にも思えます。が、しかし、これまでの長い不況の中で、経営にあえぎ、必死の努力にもかかわらず、納めたくても納められないでいた中小零細企業が沢山あり、既に倒産、自己破産をしている企業も相当数に上ることは誰の目にも明らかです。
当事務所の顧客の中にも数年前から倒産した企業が十数社あり、中には数百万円の未納保険料を抱えて倒産した会社も現実にあります。企業が倒産により自己破産を申請した場合、形成された破産財団から真っ先に先取特権としての税金や公的年金等の保険料が取られ、経営者の個人資産を含めて全てが金銭換価されて優先債権としての労働債権の支払いに充てられ、残ったものが劣後債権である一般債権の配当に当てられます。その手続が全て済んだ後、破産廃止・免責決定がなされ、債権が消滅します。
記事(特例法案の骨子)によると、倒産に例外は設けていないようで、「企業が倒産した場合や保険料徴収が難しい場合、取締役が事業主に代わって保険料を納付する責任を負う」としており、企業が代表取締役個人と共に破産手続を行った場合でも、その時の取締役から保険料を徴収することも考えているように読めます。
このことは、大変な問題で、既に免責された債権を経営責任のない、いわば倒産の被害者である取締役に負わせようということになると思われ、法的にも許されないのではないかと思うのです。
それにしても、社会保険庁の職員が保険料を横領していた事実も明らかになっており、今問題となっている年金データの不明を起こした当の社保庁の関係者が誰も処分されない中でのこの特例法案の議論にはあきれるばかりです。

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